【国際ロボット展レポート・上】靴箱ピッキングやマウス組み立てラインなど製作

【国際ロボット展レポート・上】靴箱ピッキングやマウス組み立てラインなど製作

2年に1度開かれる世界最大規模のロボット専門展「2022国際ロボット展」が2022年3月9日(水)〜12日(土)、東京国際展示場(東京ビッグサイト、東京都江東区)で開かれました(オンライン展示は18日まで)。今回のテーマは「ロボットがつなぐ優しい社会」。615社・団体が出展し、4日間で延べ6万2388人(前回比7万8745人減)が訪れました。 オフィスエフエイ・コムも関係各社ブースのデモ機製作などを担当しました。トレンドを感じた他社のブースや話題を呼んだ展示などと合わせて、会場の様子を3回に分けてご紹介します。初回の今回は、弊社が関わったブースや装置の紹介です(画像には一部、展示前に撮影したものも含まれています)。

業界の物流変革の可能性を秘めた靴箱ピッキング

エプソンのブースではパートナー企業として、「AGV×靴箱オーダーピッキング」の装置を展示しました。FA.COMラボでは以前、展示前に動画を撮影していただいた様子をご紹介しているので見覚えのある方がおられるかもしれません。

改めてご説明すると、積み上がった靴箱の中から指示に従って特定の靴箱を抜き取り、箱詰めとラベル貼りなどをするという装置です。

さまざまな業種で物流の自動化が進む中、靴の流通現場ではロボットによるピッキングがほとんど導入されてきませんでした。

  1. 流通現場でも店頭同様、靴箱に入れて積み重ねられた状態で保管されるため、上に乗っている靴箱を崩さないように中段の箱を引き抜く必要がある
  2. 大半の靴箱はふた付きで、上から吸着したのでは持ち上げることができない
  3. 靴は一つの商品でもサイズによるバリエーションがあり、種類が多い

——といった事情が理由に挙げられています。弊社は特殊なロボットハンドと、箱の情報を読み取れる独自の2次元コード(特許取得済み)を使い、ロボットによる靴箱のピッキングを可能にしました。

これがシステムの全景です。ロボットはエプソンの垂直多関節ロボットを使用。左側が独自の折り畳み式アーム構造が特長の「N6」。右側はコントローラ一体型の「VT6」。いずれも省スペースを特徴とするため、装置を3m四方の中にコンパクトに収めることができました。

特製ハンドは、靴箱を前面から引き出すための吸着パッド、目的の靴箱を固定するためのバー、周囲の靴箱を押さえるための枠などから成り立っています。どうやって目的の靴箱だけを引き抜くのか、動きを見てみましょう。

まずは目的の箱の前面に吸着パットを当て

ゆっくりと引き出したら、上からバーで押さえて目的の箱を固定します。

途中からは上の箱ごと引き出して

目的の箱の高さ分だけ位置を下げると、上の箱の底が棚の箱の上に乗るので、

引き抜く箱ごと少し押し込み、

最後は目的の箱だけ引き抜いて

奥の面で上の箱を前面がそろう位置まで押し込むと

上の箱を崩さずに一箱だけ抜き取ることができました。この動きを実現するためにはそれぞれの箱の位置と箱の高さのデータが必要で、あらかじめ各箱の前面左下についている2次元コードに書き込まれています。

ピッキングされた箱は段ボールに入れられた後、

伝票を同梱して

ラベルを貼ります。ここまでが装置の仕事です。

なお、靴箱を積んだ棚は下に無人搬送車(AGV)が入ることを想定したスペースを確保しており、互いに連動して注文に応じた棚を倉庫から運んでこられるようにする予定です。

アパレルECの物流のあり方を変える画期的なシステムと自負しています。

デジタルツインを使ったマウス組み立てライン

続いては三菱電機のブースで展示されたワイヤレスマウス組み立てラインです。メイン展示としてブース中央に配置され、かなり目立つ扱い。

組み立てラインは、部品を治具にそろえてラインまで運ぶ協働ロボット付きAGVと、マウスを順に組み立てる5台の垂直多関節ロボットからなります。弊社はロボット2台の製作やシステム部分などを担当しました。

部品は協働ロボット付きAGVなどによりこのように治具に配置された状態でラインに流れてきます。

1台目のロボットが基板を組み込み

2台目がカバーをかぶせると

3台目がネジで固定します。

4台目は電池をセットしてから

残りのカバーを取り付けるところまでが担当。

5台目は組み上がったマウスの検査や指定された文字の刻印をする一方で箱に同封する説明書を治具にセットします。

最終的にはライン後方のスペースで注文に応じて作業者が箱詰めして完成です。

会場では、来場者がマウス注文カウンターで4種類から色などを指定して注文でき、組み上がるとあらかじめ登録したメールに通知がきて受け取れるようにしていました。 このシステムのもう一つの見所は、デジタルツインの仕組みを使って作業の最適化をしている部分です。注文に応じてデータが3Dのシミュレーションツールへ送られ、デジタル空間でのシミュレーションによって最適な工程がはじき出されるだけでなく、システムのあらゆるデータがリアルタイムで加工・診断され、安定した稼働を実現する仕組みになっています。場合によっては工程の組み替えにも対応できるよう、5台のロボットはいずれも可動式の架台を使っています。

最後の工程は人間が最終確認。ロボットと人が得意な分野を分担しながら一つの作業をやりとげるという「協働」のあるべき一つの姿として提案していました。

来場者の人気集めた卓球ロボ

オムロンブースの入り口脇では、卓球ロボット「フォルフェウス」が家族連れなどの注目を集めていました。オムロンは、人と機会の未来の関係性として、機械が人の可能性や創造性を高る「融和」を訴求するため、卓球ロボットの開発を2013年以来続けています。第7世代となる今回、ロボットを支える筐体の製作を弊社が担当しました。 ラケットの動きをコントロールするロボットのアームの数が従来の3本から4本に増え、より広範囲で速く球を打ち返せるようになりました。より広範囲で動きスピードが増した分、ロボットへの反動も大きくなるので、ロボット本体を支える筐体の脚も今までの3本から4本に増えています。第7世代の最大の特徴は、ダブルスに対応していて、ダブルスを組む2人のチームパフォーマンスを高める機能を持っていること。2人の動きや表情、まばたき、心拍数などから「共感度」や「連携度」を数値化し、その数値が高まる返球パターンをAIが導き出して調整するそうです。まさに人と機械の「融和」を地で行くロボットです。

よく見るとラケットを持つパラレルリンクのロボットの右側に、水平多関節型(スカラ)ロボットがあります。これは、サーブの際に球を投げ上げるのと、ラリーの際にラケットの表面を横から観察して打球をコントロールするためのもの。ラケット表面のラバーの状態に応じて返球を調整するのだそうです。第7世代はロボットの状態を自ら監視して調節が必要な箇所を示す機能も備えていて、海外での出展時など扱いに慣れていない技術者しかいない場でも動かすことが可能になったということです。

コロナ禍に対応可能な移動式スカラロボット

光伝導機のブースでは、ヤマハ発動機のスカラロボットYK-XEシリーズを可動式の台車に載せた装置「ADDonROBOTS」を製作しました。コロナ禍で思わぬ増産を迫られた場合に既設の生産ラインを拡張し、ピック&プレイスや塗布、ねじ締めなどの作業をすることを想定しています。キーエンスのタッチパネルVT5やKVシリーズのPLCを使っています。

YK-XEシリーズはお手ごろ価格の割に標準サイクルタイム(ロボットで物を25mmまで持ち上げ、300mm離れた2点間を往復させるのに必要な時間)0.39秒と動作がスピーディ。スカラロボットを可動式架台に載せたタイプはあまり見かけませんが、ユーザーからのニーズはありそうだと判断し、今回製作することになったそうです。

ORiN使った5G連携の遠隔操作や産業セキュリティなどアピール

ORiNは、工場自動化などの際にメーカーなどによって異なる各種データ通信規格やプログラム言語を一つにし、さまざまなロボットや機械をつなぐミドルウェア。ORiNの普及啓発などを図るために関係団体・企業・個人でORiN協議会を構成しており、今回は日本で初めて5G通信を使って複数メーカーのロボットを遠隔操作した昨年春の実証実験をPRすべくブースを構えました。弊社も参加した実証実験の様子を、パネルや動画などで紹介しました。

ブースには協議会の各企業・団体の展示スペースも設けられ、弊社もORiNを使ったデジタルファクトリーのネットワークセキュリティをはじめとするさまざまな取り組みの様子を動画やパネル、バナーなどで展示しました。

Edgecrossコンソーシアムのデモ機プログラムも

Edgecrossコンソーシアムのブースでもデモ機の製作に協力しました。Edgecrossは、工場などの製造システムとITシステムをつなぐプラットフォームで、普及を目指す企業や団体がコンソーシアムを組織しています。

弊社が協力したのは、企業コンソーシアム「Team Cross FA」の仲間でもあるFAプロダクツによる、画像認識の技術でピッキングした部品を嵌合させるシステムのプログラムなどです。別の企業が製作したねじ締めロボットシステムとEdgecrossを介してデータ連携させた様子を展示しました。

Team Cross FAとして、デジタルファクトリーのソリューションを一気通貫で提供できる旨もしっかりアピールしていました。

SIer協会はスランプラリーなど実施

また、弊社も加盟するFA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)もブースでは、加盟企業のブースを回り集めたシールで景品交換できるスタンプラリーの実施の他、ロボットSI検定試験用デモ機と、来場者にノベルティバッグを渡してくれる協働ロボットの受付ロボを展示し、話題を集めていました。

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